糖尿病学の進歩(一郎先生 学会記)
一郎です。「糖尿病学の進歩2018」が福岡の国際会議場で3月2・3日の2日にわたって開催されました。「糖尿病専門医の指定更新のため」、「糖尿病診療に必要な知識」、「糖尿病療養指導に必要な知識」「臨床医が知っておくべき糖尿病の基礎」を軸にして、糖尿病専門医、糖尿病療養指導士のほか糖尿病を診療している一般医にも有益な講演会です。私は興味のある講演をあちこちの会場を駆け巡りながら全部で18の講演を聞きました。糖尿病で頭の中がいっぱいになりました。
今回、「糖尿病療養指導に必要な知識」の講演の一つに「コーチングの必要性」がありました。私は「コーチング」という言葉を初めて知りました。現在の糖尿病診療は「患者中心の医療」をスローガンに挙げています。まず患者さんのことをよく知ることが必要です。そのためには対話が必要です。対話を重ねることで患者さんを支援する過程がコーチングです。患者さんが糖尿病に向き合えるように支援するためには、医師はえてして患者さんをアドバイス,指示するという一方的な押し付ける医療になりがちですが、患者さんとの対話を重ねることによって患者さんの意欲を引き出すのが狙いです。そのためにまず相手の気持になって話をよく聞く、次に未来型思考で、患者さんに何か将来に向けて小さなことでもよいから希望を見つけてもらい、そしてそのことを承認する、押しつけがましい言い方を避けて、少しずつ前に向かって考えを進めていく手法です。臨床心理士がクライエントに対応するときの手法に似ていると感じました。
翌日、「こち吹かば匂いおこせよ梅の花・・・」の和歌を思い出し、太宰府神社に、菅原道真公に会いに行きました。その日から一気に春めいて、梅も咲き誇り、「曲水の宴」が催され、人でいっぱいでした。帰り道、参道で「木うそ」と、「うそ」のお菓子をお土産に買いました。みんな大喜びでした。小鳥のウソはきれいな小鳥で、口笛に似た鳴き声に人がだまされることから,人間のうそを小鳥のウソに託し、1年間溜まった己のうそを清めてもらう「うそかえ」の儀式が1月7日の夜に行われます。暗い参道を歩きながら、持参した「木うそ」を交換しつつ、己のうそを薄めながら神殿まで行き、うそを善に変えてもらう儀式です。古代から伝わった素朴な儀式で、私にとってありがたい、必要な儀式です。
久しぶりに学問に浸ることができて、診療に励みがでてきました。診療を続けている間は学び続けることが大切だと実感しました。診療がまた楽しくなってきました。ありがとう。
来年も3月に青森で開催されます、ぜひ行かせてほしいです。