血圧正常値が変わりました!血圧はやはり低い方がよい!
今年5月、日本高血圧学会から新しい高血圧治療ガイドライン2019が発表されました。皆さんに知って頂きたいことは以下の点です。
①血圧の正常値が更に厳しくなりました。『私の血圧は正常です!』と自慢できる人は、120/80mmHg未満なので結構厳しいです。それ以上の方、つまり124/84mmHgの方でも生活習慣を見直す必要があります。
②上左図に示すように心臓病や脳梗塞の原因として最も大きく影響するのは血圧です。糖尿病やコレステロールもよいコントロールに越したことはないですが、それよりも血圧が安定していることの方が重要ということです。
③目標血圧が下がっていない方が1000万人!高血圧で治療しているにもかかわらず、目標血圧まで到達していない方も合わせると3000万人と多いことが問題です。何となく理由もなく、下がりすぎると怖いと思う方が多いようです。自分の目標血圧が分かっていない、症状もないのにそれ以上に下げるのをあきらめてしまう方がおられます。時に自分で適当に調節している方もおられます。人間の血管には血圧を感じるセンサーがついていて、下がりすぎたら自律神経が働いて血圧を上げてくれるなど、自己調節能があります。ただし、風邪などで体調が悪い、夏場の脱水など、普段と違う体調でなければ下がりすぎることはありません。また血圧は値だけでなく、その方の病状、つまり頸動脈や心エコーなどをして血管の状態と相談しながら治療するものです。医師と相談して、自分はどこまで下げるべきなのかを情報共有すると納得いくでしょう。八田医院の血圧管理は、そういったことを十分に検査して決めています。もし血圧に不安を感じておられる方がおられたら、ご相談においで下されば幸いです。
④ただし、フレイルと言って高齢のために弱ってきた方、自力で通院できない介護を必要とする方の場合は、むしろ下げずに降圧薬を中止することも今回のガイドラインで提言されています。いずれにせよ必ず主治医とよく相談の上、治療を進めて行くことが重要です。
⑤最後に、日本は高血圧に対して少し甘い国です。本末転倒なことに、自分の血圧が高いことを少々、自慢気味に話す方までおられます。だからこそ、日本は先進国の割に脳卒中が減らない、いつまでも健康寿命が延びないのだろうと思っています。高血圧専門医で日本高血圧学会実地医家部会中央委員を務める血圧管理のプロフェッショナルとして、ひとこと言いたいのは、『高血圧なめんなよ!』です(笑)。この記事が少しでも健康寿命延伸に繋がることを心から祈念しています。