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腎臓病が心配な方へ|「水はたくさん飲むべき?」夏の水分補給
2026.08.24
「腎臓のために水をたくさん飲む」は本当に正しい?
夏になると、「熱中症にならないよう、こまめに水を飲みましょう」という言葉をよく耳にします。
一方、健診でeGFRの低下や尿蛋白を指摘されたことがある方からすると、「腎臓が悪いなら水分は控えた方がよいのでは」「逆に、たくさん水を飲んだ方がよいのでは」と迷ってしまうこともあるでしょう。
結論からいうと、人工透析を受けている人を除いて、腎臓病があるからといって、水分を制限する必要はありません。しかし、腎臓のために意識して大量の水を飲めばよい、というわけでもありません。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2024」では、成人の慢性腎臓病(CKD)患者について、体に水分がたまりすぎている状態がなければ基本的に水分制限は行わず、一方で意図的な過剰飲水も避けるよう勧めています。ただし、発汗量が多い季節や環境では、脱水予防のための飲水が推奨されています。
つまり大切なのは、「飲む・控える」の二択ではなく、今の腎臓や心臓の状態、尿量、むくみ、服用している薬、その日の発汗量などに合わせることです。
水を多く飲めば、腎機能低下を防げるわけではありません
「クレアチニンが高いから水を多めに飲んでいる」という方もいます。
しかし、CKD患者を対象に、普段より飲水量を1〜1.5L/日増やした研究では、eGFRの低下速度を抑える効果は確認されませんでした。日本腎臓学会も、腎機能を守る目的で通常より意図的に飲水量を増やすことは勧めていません。腎臓病が心配だからといって、「1日○L飲まなければ」と自己判断する必要はありません
反対に、体に余分な水分がたまっていない方が、腎臓病という理由だけで水分を極端に減らすことも適切ではありません。
夏の脱水は腎臓に負担をかけることがあります
夏場に注意したいのが脱水です。大量に汗をかいたり、発熱や下痢・嘔吐が続いたりして体内の水分が失われると、腎臓へ流れる血液が減り、急激に腎機能が悪化する「急性腎障害(AKI)」につながることがあります。CKD診療ガイド2024でも、発汗量の多い環境や季節には尿量低下やeGFR低下をきたすことがあるため、脱水予防の飲水が勧められています。特に、高齢の方、もともと腎機能が低下している方、心臓の病気がある方、利尿薬などを服用している方では、夏場の体調変化に注意が必要です。
「いつもより尿が少ない」「口が強く乾く」「立ちくらみがする」「食事や水分が取れない」といった変化がある場合には、単なる夏バテと決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。
では、何を目安に水分をとればよいの?
自分の体が脱水かどうかを教えてくれるものがあります。それは、皆さんの尿の色です。
脱水だと尿の色が濃いし、うまく水分がとれているなら、尿の色は薄くなります。つまり毎回の排尿時に尿の色を確認してください。夏に限らず、普段からそのような確認をしてほしいです。男性なら排尿時に確認できます。女性の場合でも振り返って確認してください。
笑い話ではありませんが、ある患者さんにそのように説明したところ、それはうちでは、無理やな、、と仰いました。良く聞くと、うちは『ブルーレット』を使っていると、、。
尿の色は以下の図を参考になさってください。

どんな水分でもよいの?
水、お茶が良いでしょう。お茶の種類も良く聞かれます。基本的には麦茶や番茶、ほうじ茶が良いでしょう。濃い緑茶やコーヒー、紅茶は、カリウムによる利尿作用のため、逆に脱水になることがあります。
アルコールは浸透圧による利尿作用で逆に脱水になるので、要注意です。また、血管拡張作用で起立性低血圧を来たしやすく、腎臓にとっても要注意です。
脱水には二種類あります。
脱水には、水分不足の脱水と塩分(+カリウム)不足の脱水の二種類あります。水分不足の場合は、先述のように尿の色で見分けがつきます。
では、塩分不足の脱水はどのように見分けるのでしょうか?それを見分けるのに、経口補水液が有効です。ただし注意点もありますので、次の項でお伝えします。
経口補水液は「毎日の水分補給用」ではなく、塩分不足の方に有効!
熱中症対策として経口補水液を常備している方もいるでしょう。経口補水液は、脱水時に水分と同時に電解質を補うために役立ちますが、塩分を多く含むため、日常的な水分補給として大量に飲むものではありません。2026年の厚生労働省の熱中症対策資料でも、経口補水液は塩分濃度が高く「定期的な摂取用」には向かないと案内されています。
また、腎臓や心臓の病気で水分摂取について医師から指示を受けている場合は、その指示を優先する必要があります。厚生労働省も、経口補水液を一時に大量に飲むことでナトリウムを過剰摂取する可能性があると注意しています。普段の水分補給としては、水や麦茶などを利用し、大量に汗をかいた場合に塩分を含む飲料を一時的に使う、と考えるとよいでしょう。
院長がNHKあさイチでコメントしたように、常温の経口補水液を一口飲んでみて、それが美味しい!甘く感じる、もう一杯ちょうだい!というような方は塩分不足の方の脱水です。逆に特に美味しくない、単にしょっぱいという方の場合は、塩分は足りているので、わざわざ補充の必要はありません。
薬を飲んでいる方は、自己判断で中止しない
夏場に脱水が心配だからといって、利尿薬や血圧の薬を自己判断で止めることも避けてください。一方で、発熱、下痢・嘔吐、食欲不振、大量の発汗などによって十分な水分を取れない状態では、服用中の薬によって注意が必要になることがあります。
『シックデイ』といって、通常通りの食事や水分を摂れない時には、自己判断せずに、必ずすぐに当院にご相談ください。有料となりますが、電話でのご相談も受け付けております。
腎臓病が心配な方へ
八田内科医院では、内科・腎臓高血圧内科として腎臓病診療を行っています。院長の八田告医師、副院長の門浩志医師はいずれも日本腎臓学会の専門医・指導医です。また、腎臓サポートチーム「チームエンジン」を設け、専門看護師や管理栄養士などと連携した外来診療を行っています。
当院では、今回のeGFRだけを見るのではなく、これまでのeGFRの変化をグラフで確認できるLTEPも活用し、腎機能の推移を患者さんと一緒に確認しています。
「腎臓の数値を指摘されたが、夏にどのくらい水を飲めばよいのか分からない」 「水分を控えるよう言われたことがあるが、熱中症も心配」 「薬を飲んでいて、脱水時の対応を知っておきたい」など、こうした段階でもご相談ください。
受診時には、可能であれば過去の健診結果や腎機能のデータ、お薬手帳をお持ちください。八田内科医院では、腎臓病の初診時に過去の検尿・腎機能データの持参を案内しています。
まとめ
夏の水分補給で大切なのは、「腎臓病だから水を控える」「腎臓のために水を大量に飲む」と一律に決めないことです。
体に水分がたまりすぎていないCKD患者では、基本的に水分制限は必要ありません。一方、意図的な過剰飲水にも腎機能低下を防ぐ効果は確認されていません。暑い季節には脱水を避けながら、自分の腎機能、尿量、むくみ、心臓の状態、薬に合わせて水分量を考えることが大切です。
自分の体が「水分不足なのか?」「塩分不足なのか?」体の声を聴いて判断する能力を身につけましょう。その能力(癖)は必ずあなたとあなたの腎臓を守ってくれることでしょう。
腎臓病や夏の水分補給についてお悩みの方は、八田内科医院へお気軽にご相談ください。
TEL:075-701-4805
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